
「本チャネルの導入により、お客様とのコミュニケーションが一層強化され、最新オファーを逃すことなくお届け可能になり、よりシームレスで満足度の高い滞在体験を実現します。」 Chuong Tran – 客室部門マネージャー/ホリデイ・イン&スイーツ・サイゴン・エアポート
タンソンニャット国際空港から車でわずか10分。IHGが展開するホリデイ・イン・サイゴン・エアポートは、「Culture Meets Comfort」をコンセプトに掲げる全348室の五つ星ビジネスホテルです。ベトナムへの玄関口という重要な立地にあり、同ホテルは非常に多様な国籍・言語背景を持つゲスト層に対応するという、特有のオペレーション課題に直面していました。
宿泊客の言語構成は、英語話者が74%と多数を占め、中国語(15%)、ベトナム語(8%)、その他各国からの旅行者が続きます。このような国際色豊かなゲスト構成を背景に、デジタルホテルサービスを利用するゲストの実に92%が外国語で問い合わせを行っており、効率的な多言語対応は、同ホテルの顧客体験戦略における中核的要素となっています。
一方で、同ホテルのシーフードビュッフェは地域でも高い人気を誇っていたものの、その恩恵を十分に取り込めていない層が存在していました。特に、乗継利用のトランジット客やスケジュールに余裕のないビジネス客といったゲストは、いわゆる「見えない顧客」となっていたのです。
こうしたゲストは、移動の合間で時間的余裕が限られていたり、2時間に及ぶビュッフェ利用が現実的でないケースが多く、本来であれば獲得できたはずの収益機会を取りこぼす要因となっていました。
さらに運営面では、フロントデスクへの問い合わせが日中に集中しており、全体の約70%が午前8時から午後5時のピーク時間帯に発生。このため、フロント業務の負荷が高まり、対応効率やゲストサービスの質にも影響を及ぼしていました。

限られた予算の中で潜在需要を確実に取り込むため、ホリデイ・イン・サイゴン・エアポートは客室内ダイニング向けのモバイルコンシェルジュ「GuestWeb」を導入しました。これはWebベースで利用できるデジタルソリューションであり、実証的なデジタルファースト施策としてパイロット運用が開始されました。
GuestWebとは何か?──GuestWebを支えるAIの仕組み
本プラットフォームは、これまで“見えない存在”となっていたトランジット利用の旅行者を、満足度の高いゲストへと転換することを目的に設計されました。多言語対応のAIチャットボットを導入することで、同ホテルが抱えていたオペレーション上の本質的な課題にアプローチしています。
言語ギャップの解消
AIがゲストの希望言語で即時に対応することで、前述の通り92%に達していた言語コミュニケーションの障壁を解消しました。
リアルタイム情報提供
従来の紙メニューとは異なり、GuestWebではレストランメニューや価格、館内情報などをホテル全体でリアルタイムに更新・反映することが可能です。
持続可能かつ効率的な運営
デジタル化により、従来継続的に発生していた印刷コストを削減するとともに、客室内ガイドの更新・管理にかかる人的負担も大幅に軽減されました。


手作業中心のオペレーションから、自動化された統合デジタルエコシステムへと移行することで、ホリデイ・イン・サイゴン・エアポートはゲストオペレーション全体をより高効率かつ収益性の高い仕組みへと転換しました。
GuestWebの導入は、ホテルの業務フローを根本から再設計するものでした。従来は、客室清掃、アメニティの補充、荷物対応、設備メンテナンスといった基本業務の多くが、電話連絡やスタッフ間のメッセージに依存する複雑な手作業プロセスで運用されていました。
現在では、GuestWebを通じて受け付けられたすべてのリクエストが、人手を介さずに自動で記録され、適切な部署へと即時振り分けられます。特に重要なのは、フード&ビバレッジの注文がInfrasys POSシステムへ直接連携されるようになった点であり、この小さな技術的統合が、施設全体の収益構造に大きな変化をもたらしました。
高いゲスト利用率
わずか62日間で、QRコードのスキャン回数は4,150回、ホテル情報の閲覧は4,333回に達しました。特にフード&ドリンク関連コンテンツの利用が最も多く、「Grab & Go」オファーは733回クリックされ、短時間で利用できる食事ニーズの強さが明確になりました。
売上の増加
本システムは月間450件のルームサービス注文を処理し、これにより月間約8,400ドルの追加ルームサービス売上を創出しました。
迅速な自己解決の促進
ゲストの65%が問い合わせ機能を利用し、自ら情報を取得。レストラン営業時間(21%)、館内施設情報(16%)、一般ルール(15%)などについて、フロントに電話することなく自己解決する行動が定着しました。
フロントデスク業務の負荷軽減
AIによる自動応答により、ピーク時間帯(午前8時〜午後5時)におけるフロントへの電話問い合わせは大幅に減少しました。
付帯業務の自動化と在庫管理の最適化
タオルやアメニティ追加などのリクエスト(全体の14%)も自動処理されるようになり、さらに在庫状況がリアルタイムで可視化されることで、補充タイミングの最適化も実現しています。