同社の創業者兼 CEO Vic Shen(沈書緯)氏は、このアプリケーションが単なる OpenAI API ではなく、その API の上に Aiello が開発した言語モデリングフレームワークであることを強調している。
例えば、宿泊客からの質問は、まず Aiello の言語モデルに入力され、どの言語モデルで返信すべきかが決定される。この方法のメリットは、最初に最適な言語モデルを見つけられることだ。例えば、OpenAI の GPT 系では、1問1問にコストがかかり、回答時間が長くなる。質問がシンプルだったり、意図が明確で回答に誤りが含まれてはならないケースでは、GPT モデルを使う必要はない。
一方、大規模言語モデルを導入することで、回答はより使いやすくなる。例えば、宿泊客が「プールでスイミングキャップは被る必要はあるか」と質問した場合、これまでの言語モデルでは、データベースに答えがないため、この質問に答えられなかったかもしれないが、GPT は質問を分解して、人間的な回答をすることができる。
また返答が人間的なものになるので、宿泊客の利用率を大幅に向上させる可能性がある。また、Shen 氏は、AVA の導入されたレストランをソーシャルメディアで紹介すると、露出が増えると述べた。宿泊客は好奇心が強く、面白さや便利さを感じれば、ソーシャルメディアに写真を投稿してくれるからだ。
企業側では、もうひとつ、より直接的な影響として、導入にかかる時間が挙げられる。従来は、ホテル側がルールや回答を AVA に教えるのに1~3カ月かかっていたが、新しい言語モデルでは、書籍でも PDF でもマニュアルを Aiello に渡すだけで、短時間で情報を AVA に取り込むことができ、追って回答を修正することも可能だ。
また、Aiello は、顧客に提供するサービスをより便利なものにすべく、仕事を直接割り当てることができるホテルのタスク管理プラットフォームを開発した。これには、AVA 収集したデータを Aiello がホテル経営者にフィードバックし、オペレーションの最適化ができるデータ分析機能を組み込んでいる。