スマートスピーカー「Aiello」がホテルのバトラーに変身。 ルームサービスがお手軽に利用可能

Aiello Voice Assistant (AVA) Transforms Hotels with 24/7 AI Concierge Service

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United Daily News  

2022年12月25日 日曜 編集長/劉芳妙 編集/張文禎 隠れたチャンピオン 

経済日報では、毎週日曜日に「隠れたチャンピオン」シリーズのレポートを発行し、台湾で成功した中小企

業のサクセスストーリーを紹介する。

今はまだ聴き馴染みのない企業かもしれないが、彼らは独自の伝説を築いてきており、世界で輝く次世代のTSMCである可能性を秘めている。

記者 鵬慧明/台北からのレポート

ホテルに滞在し宿泊客がサービスを頼みたい時、大抵の場合客室の内線電話を用いて注文する必要がある。しかし今ではAIが客室専属のアシスタントとしてサービスを承ることができるようになった。 自然言語処理とAI音声イノベーションを開発するAielloは2019年に設立された。Aielloの看板製品である「AI音声アシスタント(AVA)」は、台湾国内の宿泊施設8000室に導入されており、日本、タイ、およびその他の市場にも参入している。高級五つ星ホテルから洗練されたビジネスホテルに至るまで、宿泊客が客室内に設置されたデバイスに「話しかける」だけでルームサービスやFAQなどの反復性の高い業務を完遂することができるのだ。

AielloのCEOである沈書緯(ヴィック・シェン)氏は、Googleのスマートテレビやスマートホーム、ワイヤレスネットワーク等を担当する複数の部門で半導体チップからハードウェア製品まで、多くの実務経験を経て、Aielloを設立した。 GoogleではGoogle Nestシリーズのスピーカー製品の開発に携わった後、音声アシスタントチームに異動し、自然言語処理 (NLP) 技術に深く関わってきた。

NLPや音声アシスタントの技術はAmazon、Google、Apple、Metaも開発中であり、従来の自然言語処理はキーワードの処理が中心で、実用性がいまひとつ感じられないものばかりだったが、技術の進歩により機械学習によって関連する技術とNLPの実用性は大幅に成長した。 しかし、世界中の言語の多様性によって、NLP技術を提供するオープンソースのモデルプロジェクトのBERT、GPT3であっても高額な開発プラットフォームとなっており、NLP 技術にも多額の投資が必要となる。

ビッグデータ分析で旅行者のニーズを紐解く  

シェン氏は、NLPはさまざまなビジネスシーンに導入でき、大手メーカーは家庭や個人に普及する汎用製品の開発にあるが、消費者よりもビジネスシナリオに適用できると指摘する。大手メーカーの多くは、小規模な市場は小規模なスタートアップが開拓できる領域であると感じている。 彼はAiello NLU (自然言語理解技術、Natural Language Understanding) テクノロジーを設計して、ユーザーの会話を分析し、サービス業界に導入した。これにより、企業はシンプルで柔軟なオペレーションシステムを通じて自然な人間と機械の対話やユーザー体験、改善ビジネス効率を実現し、新たなニーズを開拓することができるようになる。

シェン氏がホテル・宿泊業を選んだ主な理由は、ホテル業は労働集約型の産業であり、効率的な管理のための技術ツールが必要であるためだと述べる。例えば、ホテルに滞在する際は電話等でルームサービスを呼び出す必要があり、希望のサービスの内容をいちいち細かく伝える必要がある。

また、対応にあたったスタッフが、その注文を各部署に中継して伝えなければならない。

こういった一連のフローもAVAなら一括で伝達・管理することができる。

宿泊客の滞在中、Aiello音声アシスタント(AVA)は客室AIコンシェルジュとなり、顧客管理システムを統合して自動化とデジタル化のニーズに対応する。平均30% のフロント人員と300時間の労働時間を節約しできるAVAはネット上でたちまち話題になり、本製品を導入したホテルの露出をSNSで10倍に増やし、常連客比率と宿泊客比率が上昇。 同時に、AVAを通じてデータを収集することで、ホテルの顧客管理システムにデータを蓄積し、データ分析を通じて旅行者の滞在中のさまざまなニーズと使用行動を提示し、ホテル業界のデジタル化(DX)を支援する。 AVAの発売と同時に、コロナウイルスのパンデミックに見舞われたが、シェン氏は、ホテルは予想以上にDXを受け入れようとしていると指摘し、今年の契約客室数もさらに増加すると予測している。本製品の契約数は昨年に比べて2.5倍増し、複数のホテルグループとも契約を結び、台湾の4つ星以上のホテルの標準装備となっている。

Aiello Voice Assistant (AVA) Transforms Hotels with 24/7 AI Concierge Service

アジアでの市場拡大を目指して

 世界でパンデミックが落ち着いた半年間、彼はノンストップで世界中を飛び回り、各国で市場を開拓し、日本、タイ、マレーシア、シンガポールの多くの国際的なグループホテルへの参入に成功し、世界にAVAが認知される第一歩を踏み出した。タイと日本の2つの主要市場は、観光産業が主要であり、今後3年から5年で北東アジア、東南アジアの4つ星以上のホテルの市場シェアの30%以上をカバーする見通しだ。

最近、Aielloは Pre A+ラウンドの資金調達を完了したばかりで、今回の資金調達で累計2億台湾元以上の資本を獲得した。シェン氏によると、AVAは現在、毎月100万回の中国語、英語、日本語の音声およびテキストデータを解析している。トレーニングシステムはより洗練されたものとなっており、次のステップでは、多目的文脈理解テクノロジーがさまざまなビジネス分野に導入し、企業のDXの加速や業務の最適化、新しいビジネスモデルの推進を支援する企業向けのNLPSaaSサービスの開発を進めている。

効率を管理しつつ、ストレスも管理する 向上心の高いシェン氏が見つけた経営のリズム

Aielloの創設者兼CEOであるシェン氏は、これまで順調にキャリアを積んできており、経歴は多岐にわたり、Qualcomm, Google, NXPで輝かしい功績を収めてきた。自身の友人に「起業に失敗したからって物乞いになることも、ビルから飛び降りることもないよ。人生が台無しになることはないから、やってみるべきだ!」 言われたことで、5年前シェン氏が40歳の時、「起業しなければ人生に満足できない」と感じ、事業計画を完成させて以降、今まで多忙を極めてきた。

シェン氏は仕事の経験は豊富だが、起業の経験はなかったため、設立当初1年は、危うく自分の会社を失いそうになったと語る。 彼は自身の仕事と投資資金や友人や親戚に声をかけ起業のための約1000万元を調達した。優秀な人材やエンジニアが集まったチームだったが、財務担当者がいなかったため、良い音声ソフトのエンジンを手に入れ、製品開発につなげるために、資金を惜しまず注ぎ込んでしまった。

創業團隊技術很 好,但卻是沒有財務長的新創,毫不猶豫把資金用來採購很好的語音軟體引擎,埋頭開發產品。  

 設立から1年余り経った2019年末には、少量生産のスピーカーの第一弾が市場に出回ろうとしていたが、当初約束した金額が用意できず、危うく募金を募るほど資金が枯渇してしまった。 社員たちも二ヶ月給料がもらえずにも諦めずに一丸となり、シェン氏は、銀行に行って数百万円を借りたりし、製品が納品できるまでなんとか持ちこたえることができた。幸い、Aielloの技術と製品が新たなエンジェル投資家を惹きつけ、土壇場でまさに「命を繋ぐ」資金を手に入れ、2020年の創業以来最大の危機を乗り切ることができた。

「創業当初の三年間は短期間で結果を出そうと、毎日が最後の日だと思って夜が老けるまで働き、休みの日もどのような方法で成果を出せるかと仕事のことばかり考えて働いていました。しかし起業というのは長期戦で、毎日100%以上の働き方をすることはできないと気づきました。起業には効率性が求められますが、すぐに製品や収益が見える必要はありませんし、毎日会社の成果を気にして普通の生活が送れなくなるようではいけません。過度なプレッシャーは起業者のことを潰してしまうのです。」とシェン氏は語る。

Aielloは創業から2年後には収益が上がり、事業が軌道に乗り始めた。台湾で新しいベンチャー企業を成功させるため、本当に剣を研ぐのには10年かかると語り、起業までの道のりでプレッシャーや困難に直面することもあったが短期的に急ぐのではなく、徐々に時間を調整して新製品を開発するようになったという。

Aiello Voice Assistant (AVA) Transforms Hotels with 24/7 AI Concierge Service

人手不足の問題を解決するためDXをサポート

AIスタートアップのAielloは、JAFCO AsiaとWistron Capitalの2大機関を筆頭に、当初の投資主Cornerstone Venturesにより580万米ドル(約1億8000万台湾ドル)のプレA+ラウンド資金調達を最近完了させた。

JAFCO台湾キャピタルのマネージングディレクターである林宇璋氏は、Aielloが海外進出計画があること、国際市場に参入できること、業界の痛点を効果的に解決する拡張性のあるビジネスモデルを実現できるアジアでは数少ないAI企業で将来の発展性があることなどといったJAFCO Asiaの主要投資基準に合致していると述べた。

また、製品面から見るとAielloのホテル業界向けAI知能音声アシスタントAVAはホテル経営者の煩雑なプロセスの一部を効果的に支援し、すでに台湾、日本、タイなどのホテル業界に参入している。

コロナ収束後の時代において、企業は労働力不足やデジタル変革に直面しており、AIや音声技術の需要は高まると予想される。Aielloは単なるテクノロジー製品ではなく、コロナ流行後の人手不足の問題を解決するソリューションであることを同氏は強調する。

コロナが収束に向かい、観光市場は回復しているが、ホテルを含む観光産業では、コロナ流行時に大規模な人員削減などを行ったため、ポストコロナ時代である今すべての人手を取り戻すことは難しい状況だ。少子化などの影響もありどの産業でも人手不足は深刻な課題の一つである。今後ホテル業界も、回復していく観光の流れに対応するため、的確な人材配置と、人手のみに頼らないスマートなサービスの導入が必要になってくるだろう。

JAFCO Asiaは近年、台湾で情報セキュリティ、エネルギー、AIなどの分野で投資を展開し、新しいベンチャー企業の資本市場参入を支援している。「投資の際にはベンチャー企業の取締役会に参加し、新しい起業家がより効率的に経営目標を達成できるように、そしてラストワンマイルを切り開くことができるように支援します。その後は、ベンチャー企業自身が独自の技術によって市場を切り開いていきます。私たちは、Aielloがアジア市場を開拓していけると非常に期待しています。」と林昱璋氏は述べる。

音声によるビジネスチャンスの可能性に挑む新製品 企業のオンラインミーティングでAIが議事録を作成できるように

コロナ流行期には、オフィスワークとテレワークを組み合わせたハイブリッドワークやオンラインミーティングなど新しい働き方が生まれた。その結果、音声データの膨大なデータベースができ、それを分析・分解して最も効率的な方法でビジネスに価値をもたらす必要が生じた。

Aielloは現在、2つ目の製品であるAIによる音声コラボレーションソリューションである「Vocol」を設計しており、様々な文脈の音声データを理解・認識し、会議の効率をあげることでビジネスチャンスを掴むことをテーマとしている。

AielloのCEOであるシェン氏は、(現在要做產業垂直深化的語音辨識,整合到企業系統內)音声認識の業界における垂直的な深化と企業システムへの統合に関してAielloは現在すでに初期成果を上げているが、自然音声処理・音声理解技術全体はまだ進化しており、米国では多くの新しい革新的な技術が音声コラボレーションの市場を獲得し始めていると語る。

Aielloは、大規模言語(LLM’s)のAIモデル「GPT-3」と「BLOOM」をベースに、複数の会議音声ファイルを迅速にテキスト化し、機械学習モデルによる文字起こしや正確な要約への書き換えに着目し、新たに音声コラボレーションソリューション「Vocol」を開発した。現在社内試験中で、初期段階から国際的な企業市場をターゲットとしており、中国語、英語、日本語の3カ国語に対応している。「音声版Googleドキュメント」のように、キーワード検索、編集、注釈、修正、共有などを直接行うことができる。

「オンライン上の音声や動画は爆発的に増え、これらの非構造化データは全データの90%以上を占めるようになりました。今の翻訳は文章からの直訳が主流ですが意味をより理解するためには感情から文章を理解することが重要となってきます。」とシェン氏は言う。

将来的には、ピュアソフトウェアのB2B SaaSプラットフォームとして、まずは企業顧客を対象に、AIによるモデル分析で企業営業部門にとって不慣れな事業展開を効率化することを想定している。複数人での共同作業が可能になるだけでなく、オンライン会議の音声ファイルをAIで解析することで企業経営者はビジネスチームの営業力を把握し、コンバージョン率を向上させることができる。80%の時間を節約できるのであれば、企業が導入するのに十分な価値があり、ビジネスチャンスがあると考えている。

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