SPECIAL INTERVIEW GION ELITE TERRACE/北山貿易(株) 代表 李 文文氏

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“正解”のある問いはAIに任せてゲストとスタッフが深く交流できる時間づくり

人手不足が深刻化する昨今、さまざまな業界で、AI技術の活用は急務となっている。ホスピタリティ業界でも以前から DX推進が求められているが、そこにいち早く応える形で登場したのが、NLP(自然言語理解)技術を採用した Aiello社のAIチャットボット「AielloVoice Assistant(以下、AVA)」だ。ここでは、「AVA」を国内で初導入した「GION ELITE TERRACE」の運営会社 北山貿易(株)の代表李文文(リー・ウェンディー)氏に、導入の経緯やメリット、今後の活用法などについて聞く。

目次

GION ELITE TERRACE/北山貿易(株)
代表 李文文(リー・ウェンディー)氏


1975年上海市生まれ、1997年来日、2000年岡山商科大学商学研究科にて修士号取得士、2007年 欧米富裕層向けオーダーメイド専門の旅行会社である株式会社日本の窓設立、2008年京都大学人間環境学研究科にて博士号取得、2008年 京都市内で町家のインバウンド向け貸出ビジネス開始、2014年 北山貿易(株)設立、ホテル・ゲストハウス企画・プロデュース・運営、不動産業に従事、2017年 オリジナルブティックホテルブランド「ホテルエスノグラフィー」創立、2022年 産前産後ケアホテルぶどうの木京都院設立

きめ細やかなもてなしを「AVA」でサポートする

—-まず、「AVA」を導入された経緯を教えてください。

 当初は、ボタン1つでカーテンと照明、エアコンを操作するルームコントロールシステムの導入を検討していました。ですが「AVA」をご紹介いただき、音声でルームコントロールが行える機能に加えて、AIコンシェルジュ、内線電話、メッセージの送信・表示など、さまざまな機能が集積していると知りました。それらの機能が、スタッフがお客様にきめ細やかなおもてなしをするために、非常に有用だと感じて導入を決めたのです。

—-きめ細やかなサービスを、「AVA」でどのように実現されるのでしょうか。

 AIができることは「AVA」に任せ、それ以外のスタッフでなければできない、よりパーソナライズしたサービスに時間をかけるということです。なぜなら「AVA」には、ガイドブックのようなものから情報をピックアップするだけでなく、エリアを熟知しているスタッフ自身が、実際におすすめしたい情報をカスタマイズして入力できます。そうやって、「情報だけを提供する」サービスに時間をかける必要がない分、何気ない会話など、本来のコミュニュケーションに時間を割り当てられるのです。私は、そういったコミュニケーションを大切にすることこそ、ブティックホテルの基本だと考えています。

—-ブティックホテルとは、どういった定義のホテルだと李さんはお考えですか。

 一般的には、部屋数が 100室以下でデザイン性が高い、明確なコンセプトがあるなどの基準はありますが、一番のポイントは、「働いている人と泊りにくる方の距離が近い」ことだと思います。私は日本の大学院で経営学を学ぶために来日し、卒業後、さらに京都大学で文化人類学を学び、博士号を取得しました。その博士課程に入る 2005年に、当時、ニーズはあるけれどまだ対応できる企業がなかった、「インバウンド向けの、オーダーメイドの旅程を組める」旅行会社を設立したのです。

お客様は欧米の富裕層で、旅後には必ずアンケート調査をしていました。その声を集めるなかで、「日本人と話せていない」という声が数多くあったのです。日本人と深く話をする、交流をする機会が少ないと言われたんですね

旅で他者を理解することで自分自身への理解も深まる

—-それで、会話を大切にされるホテルをつくろうと思われた。

 私が学んでいた文化人類学の神髄は、異文化交流です。何も国籍の違いだけが異文化ではなく、同じ「青色」と言っても、人によっては全く違う色を想像しているかもしれませんよね。そういったことを、さまざまな地域にいって見聞きしたことを記録し、深く理解する学問なのです。そして、その真の目的は、他者を理解することを通じて、自分自身を理解することにあります。

これと同様に旅においても、周囲も自分自身の理解も深まる手段はないかと考え、ゲストとスタッフの間で、深い交流が生まれるホテルをつくりたいと思いました。また当時、いわゆるブティックホテルに泊まりたいという要望も多く、まだ京都にはかなり少なかったので、チャンスがあると考えたのです。最初は町家を改装した古民家を一棟貸しして大盛況になり、2017年には、「ホテルエスノグラフィ」というホテルブランドも誕生しました。

こちらは京都で 2軒、金沢にも展開していましたが、残念ながらコロナで手放し、今は京都に1軒だけ残しています。そんな折に、こちらのオーナーに「一緒にホテルをつくろう」とお声がけいただきました。

—-「GION ELITE TERRACE」の特徴を教えてください。

 コロナ禍でインバウンドが激減したことや災害、戦争などのリスクを鑑みて、国内外のお客様を対象にと考えました。そこで、多くのストレスを抱える現代人に必要な「ウェルネス」をテーマに据えて、私自身もコロナ禍にはまり、心身共に救われたサウナを31室中11室に取り入れています。加えて、サービスの効率的にも長期滞在の方を増やしたいので、滞在の快適性を高めるため、各客室は28〜45m2の広さを確保。

自然素材もふんだんに使用したリラックス空間を演出しました。ミニキッチンやランドリーもつけて、湯船には芯まで温まり湯冷めしにくいと言われる「酸素美泡湯」も取り入れています。これらの「ウェルネス」とパーソナライズされたサービスを実現するために、テーマに沿ったインテリアデザイン、アメニティ、ファシリティ、テクノロジーを選んでおり、「AVA」もその中のひとつです。

1泊当たりの単価は 3万円台で、サウナ付きの客室は 5,000円〜 10,000円程度アップします。安いと思われるかもしれませんが、「払った甲斐がある」と感じていただける価格設定を意識しており、そこに様々な付帯サービスを付けることで、満足度を高め、リピーターやクチコミにつなげたいと思っています。

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「Chat GPT」やデータの活用でさらにより良いサービスへ

—-いち早く「AVA」を導入されて、今後活用していくなかで、Aiello社のソリューションに期待されることは。

 ホテルは 10年、20年と続く事業ですので、こういったシステムもアップグレードして、時代に合わせていく必要性があるのではないでしょうか。「AVA」と「ChatGPT」の統合は既に完了したとのことですので、統合により、「AVA」のユーザーエクスペリエンスがさらに向上されることを期待しています。「AVA」を提供している Aiello社様が、今後 ChatGPTをどのように活用していくかも楽しみですね。

—-素晴らしいですね。「AVA」を含め、現状はまだ AIソリューションは、客室にマストではありません。ですが人手不足を考えると、今後はスタッフが働きやすい環境を整える意味でも、当たり前になっていくのではないでしょうか。

 私は常に新しいものを求めていて、とりあえず一度は試してみたいと考えています。だからこそ「AVA」と出会った時も、絶対にうちが 1軒目になりたいと思いました。人手不足は永遠の課題ですし、地方では全く集まりません。

人を集めるためには、例えばスキーリゾートなら「週 4日労働にして、スキーが好きな方に働いていただく」などの手段が必要になってくるのではないでしょうか。そのためにも、今後も積極的にテクノロジーの力を借りていきたいと考えています。

—-本日はありがとうございました。

祇園花見小路にほど近く、京都らしい風情溢れるエリアにオープンした「GION ELITE TERRACE」。コンシェルジュの代わりとなるAI 音声アシスタント「Aiello」を日本のホテルで初めて導入。全31 室中11 室に「フィンランドサウナジャパン社」によるオリジナルカスタムサウナが備えられている。また、全客室のバスルームに酸素美泡湯を設置。館内に自然素材がふんだんに使われ、京都にゆかりのあるアーティストが手がけたオブジェが飾られ、館内の電力はソーラーパネルによる自家発電など、SDG’S への配慮を感じさせる。さらに、「GION ELITE TERRACE」は、家族や外国人観光客の滞在も見据えて、全ての客室に備えられたミニキッチン、共用のランドリースペースなど、ファミリーやロングステイの宿泊客にとってうれしい設備が整っている。

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