ホテル向けPBX電話システムについてのすべて

PBX電話システムとは何か？ホテルにどのような利点をもたらすのか？ 

PBX電話システムとは、ホテル内のすべての内線電話を接続し、それらを公衆電話網ともリンクさせるコールルーティングシステムです。

以前は、PBXシステムはアナログの交換機を使用し、ホテルのスタッフはすべての通話を手動で転送する必要がありました。また、電話回線は公衆電話網（PSTN）を介して埋設された銅線で接続されていました。

プライベート・ブランチ・エクスチェンジ（PBX）は、すべての内線電話を接続し、それらを公衆電話網に接続する通話ルーティングシステムです。

かつては、PBXシステムはアナログの交換機を使用し、ホテルスタッフはすべての通話を手動で転送する必要がありました。また、電話回線は公衆電話網（PSTN）を介して地中の銅線を通じて接続されていました。

今日のPBXシステムは、内線番号を自動的に切り替えるので、PABX（Private Automatic Branch Exchange）とも呼ばれます。また、通話はPTSNを経由せず、インターネット（VoIP）を介して行われます。PBXの代表的なプロバイダーとしては、3CXやNECなどがあります。

ではPBXシステムは、ホテルでどのような役割を果たしているのでしょうか？

内部内線 – PBXシステムにより、ホテルは各部屋や部署に内線を割り当てることができます。つまり、宿泊客は自分の部屋からルームサービス、フロントデスク、ハウスキーピング、その他のホテルサービスを簡単に呼び出すことができます。また、スタッフは異なる部署間で互いにコミュニケーションをとることができます。

自動応答 – 着信した電話は、予約やカスタマーサービスなど、適切な内線番号に自動的に切り替わります。あらかじめ録音されたメッセージや、発信者が選べるオプションのメニューが含まれている場合もあります。

モーニングコール – PBXシステムは、客室への自動モーニングコールをスケジュールすることができます。

プロパティ・マネジメント・システム（PMS）との統合 – PBXシステムは、ホテルのPMSと統合することができます。これにより、自動チェックイン/チェックアウト、部屋の清掃状況、ミニバーの使用状況などを確認することができます。

ルームステータスの更新 – より高度なシステムでは、清掃担当者が客室の電話を通じてルームの清掃状況を更新し、それをホテルのソフトウェアに表示することができます。

ホテル向けのPBX電話システムにはどのような種類があるのか？

PBX電話システムには、大きく分けてオンプレミス型とホスティング型（クラウド型）の2種類があります。つまり、PBXシステムを自社の敷地内やプライベートクラウドに設置・維持するのか、それともサードパーティーのプロバイダーがサービスを提供してもらうのか選択できます。

オンプレミス型PBX電話システム 

その名の通り、オンプレミスPBXシステムは、ホテルの施設内に設置されます。このタイプのシステムは、ホテル内のすべての内線電話を接続し、公衆交換電話網（PSTN）またはVoIP（Voice over Internet Protocol）サービスにリンクします。
敷地内にあり、スタッフやホテル運営チームに委ねられているため、カスタマイズやデータのコントロールがより容易になります。
しかし、初期費用が高く、メンテナンスや更新のために専任のITスタッフが必要です。オンプレミスPBXソリューションのコストは、セットアップ費用、ライセンス、自社のIT設備、メンテナンス費用がかかるため、高くなる傾向があります。

ホスティング型（クラウド型）PBX電話システム

クラウドPBXや仮想PBXとも呼ばれ、他社プロバイダーによって提供されます。プロバイダーは、すべてのPBX技術と機器を管理し、ホテルはインターネット経由でサービスにアクセスします。つまり、問題が発生した場合は、自分で対処するのではなく、カスタマーサービスに連絡し、プロバイダーに対処してもらうことになります。

ホスト型PBXシステムは、サブスクリプションベースで運用されるため、初期費用が少なく、コストと時間の効率に優れています。また、ホテルのニーズに応じて簡単に規模を拡大・縮小でき、現場でのメンテナンスも最低限で済みます。
ただし、カスタマイズの自由度が低くなる可能性があるため、カスタマイズサービスが充実しているプロバイダーを探したほうがよいでしょう。

アナログPBXとIP PBX – 何が違うのか？

PBX システムを検索すると、アナログPBXと IP PBX (IP = インターネットプロトコル) という 2 つの用語を目にすることがあります。

これらは、物理的な電話回線上かインターネット上かを問わず、音声データがどのように送信されるかに関連しています。

アナログまたは従来型のPBX

「アナログ」という用語は、音声データを伝送するために使用される技術の種類を指します。従来の、またはアナログPBX電話システムでは、音声信号は電子信号に変換され、銅線上で送信されます。これは最も古いタイプの電話技術であり、1世紀以上にわたって使用されています。

これらの電話は、しばしばPSTN、固定電話、Plain Old Telephone Service (POTS)、または固定電話などと呼ばれます。PSTN電話は一般的に標準的な通信手段と考えられていますが、その使用率は徐々に低下しています。

アナログPBXシステムは安定した信頼性の高いシステムですが、近年IPベースのシステムに取って代わられることが多くなってきています。

IP PBX 

IP PBXは電話信号が従来の固定電話ではなく、IPベースのネットワーク上を移動するためVoIP電話システムと呼ばれることもあります。
VoIPとIP PBXを組み合わせることで、インターネットを通じて通話を伝送することができ、VoIPでは有線または無線ネットワークを通じて、スマートフォン、タブレット、AIアシスタントなどの他のインターネットベースのデバイスに接続することもできます。

これらの新しいシステムは、より高度な機能、より良い音質を提供し、設置、維持、拡張が容易になっています。また、CRMやEメールなど、他のデジタルシステムやソフトウェアとの統合も可能で、ホテル内のコミュニケーションをより統一したものにすることができます。

そのため、ホテルでは、バーやレストランなどの施設と客室の注文を結びつけることができます。例えば、IP電話システムを通じて客室から夕食のリクエストを受けると、その問い合わせはインテリジェントボイスシステムで処理され、飲食チームに自動的に転送されます。

ホテルに最適なPBXシステムを選ぶ方法は？

本記事では、ホテル向けPBX電話システム、そしてオンプレミス型とホスティング型（クラウド型といった種類について説明しました。現在、市場では多くのプロバイダーや種類から選ぶことができるため、その選択肢の多さからどれを選べばいいのかわからなくなってしまうこともあります。 

そこで、ホテルに合ったPBXシステムを購入する際に考慮すべきポイントをいくつかご紹介します

ホテル既存のインフラとリソース

既存の電話構造をアップグレードしたいだけで、社内にITエンジニアがいるのであれば、オンプレミスPBXは良い選択肢と言えます。
しかし、新しいホテルや大規模な改装を控えているホテルで、新しいシステムに切り替える余裕があるのであれば、長期的にはクラウドPBXを導入したほうがビジネスのメリットは大きいでしょう。

ホスティング型PBXシステムは、その機能が完全にインターネット回線によって成り立っているため、信頼できるインターネット回線を必要とします。
もし、まだインターネット接続が整備されていないのであれば、今すぐインターネット環境を整備しましょう！ミレニアル世代やZ世代の若い世代にとっては、安定したインターネット接続はホテル選びの際重要な決め手となりますし、PMSやCRMなどのホテルテクノロジーは、ほぼオンラインで運用されています。安定したインターネット環境は様々なメリットをもたらしてくれるでしょう。

予算と拡張性

オンプレミス型PBXシステムは、一般的に初期費用が高く、社内にITエンジニアが必要ですが、ユーザー数が多い場合や多くのカスタム機能が必要な場合は、長期的には費用効率が高く、お得になる可能性があります。

ホスティング型PBXシステムは、サブスクリプションベースで、プロバイダーによって管理されるため、初期費用が安くなります。

使用しているソフトウェア・ツールやソリューション

新しいホテルの電話システムを探すときは、チームとゲストの間のコミュニケーションを容易にし、PMSやCRMなどのホテルのソフトウェアと簡単に統合できるものを探すことが重要になります。将来的に自律的に動作し、時間を大幅に節約できるように、技術ツールとエコシステムを連携できるようにしましょう。

また、ゲストからの電話が多すぎてフロントスタッフが困っている場合、こちら記事から負担を最小限に抑えるための必須ポイントをまとめた記事をご覧いただけます